地元のメンテナンスとコミュニケーションを大切に~京都府バス協会脇会長インタビュー~

November 21, 2016

2016/11/22

 

 京阪バスは京都府南部地域、大阪府の京阪電鉄地域、滋賀県大津市などで、。路線バス高速バス(四国、中国、近畿、関東)、関西空港へ向かう空港リムジンバス定期観光バス、貸切バスなどのバス輸送サービスを行っている。世界有数の観光地である京都を発着地にしている上に、多様なサービスを展開し、バスロケーションシステムやドライブレコーダーなどをいち早く導入するなど、一目を置かれている。京都府バス協会の会長も務める、同社の脇博一会長に近年の取り組みから感じることについて話をうかがった。

 

 

 

 

今のバス会社に必要だと思うこと

地元のメンテナンスとコミュニケーション

試しにやってみようと思うチャレンジ精神

 

 「鉄道はレールが必要となります。しかしバスはレールが必要ないんです。悪天候により道路が閉鎖になったり鉄道も運休してしまったときに、いち早く復旧できたのが道路でした。その時に鉄道にないバスの強みを身に染みて感じました。ですから、バスは要望や走らせてみたいと思ったら、一回やってみたらいいんだと思います。あかんかったらやめたらいいです。もしかしたら思わぬ結果が出るかもしれない」と京阪電鉄で鉄道事業に携わってきた脇氏はバス事業を少し違った見方をする。しかもチャレンジ精神にあふれている。

 さらに脇氏は郷土の祭りや資源に目を向け、さらには地域の利用者の声に耳を傾けようとしている。それが地域に根差したバス会社の役割だと考えているからだ。業界全体を俯瞰的に見ながら、今のバス会社に足りないことは”地元のメンテナンスと地元とのコミュニケーション”なんだと指摘する。そして「利用者モニターを募って、生のマーケティングをしたい」と抱負を述べる。

 

 

 

地域交通と観光~ 地元の熱意の大切さ~

 

 地元のメンテナンスとコミュニケーションで生まれる新しい取り組みは地域内移動や定期観光バスなど多岐にわたる。そこには必ず”地元の熱意”があったからこそ実現したことを脇氏は強調する。

 一つは京阪バス鏡山循環系統バスだ。2015年3月23日から2年間の試験的な運行を経て本格運行することになった。「京都市山科区の鏡山学区自治連合会自治連合会会長が一軒一軒回り声をかけてくれたのだ」と脇氏は振り返る。バスは公共交通だと言っても民間企業であるため採算のとれない路線を運行させるのは難しい。自治体も住民の声なきところでは動けないし、自治体が乗って下さいと促しても上手くいかなかっただろう。

 

 

 

 定期観光バスで地元の熱意により実現したものが2つある。美山コース伊賀・甲賀コースだ。「鉄道もなく、大きな道路もない一見不便な田舎と思われそうな美山町には、実はものすごくたくさんの魅力がかくされているのです」と脇会長。美山町は京都府のほぼ中央に位置

 

 

する南丹市にあり、町の中央には鮎で有名な清流を誇る由良川水系の美山川などが走り、自然景観に調和して古いかやぶきの住居が現存している。冬には美しく雪化粧をする。節分の雪まつりには、関西、関東、台湾から40-50人が同社グループ会社の京阪京都交通のバスで向かったのだという。特に興味深かったのはある台湾からの観光客がツイッターでつぶやいたことから、台湾でも人気がでたことだ。

 また今年初めて三重県伊賀市・滋賀県甲賀市の忍者 の里を一日でめぐる「ちょこっとプレミアム、忍者編 伊賀・甲賀 忍者の里めぐりと伊賀牛の昼食」を2016年9月7 日~ 28 日(水)毎週水曜日に4日間運行した。初日には伊賀市長が出迎え地元紙には「京の都から観光客がやってきた」と大きく報じられ喜ばれた。それくらい定期観光バスが発着することは地方に大きなインパクトがあったのだという。

 「魅力ある地域と京都駅とつなぐのが私たちの役割だ」と脇会長。定期観光バスの新しいコースが走る条件はこれまでの経験から、地元の熱意、食堂、旅館、観光資源の集約の4つ。バスの座席が5~7割埋まれば運行できるのだという。

 

 

人の動きをみること

 

 地元のメンテナンスとコミュニケーションに加え、”人の動きを見る”ことを加えた新しい取り組みもある。京都府は、「お茶の京都(京都府南部地域)」「森の京都(京都府中部地域)」「海の京都(京都府北部)」と分け、京都を古都京都とはひと味違う府内の各エリアにスポットを当て、観光誘客と地域活性化を行っている。そこで京都駅が新幹線ののぞみが止まることの強みに着目した。北部地域では京都縦貫自動車道が全線開通し、アクセスが飛躍的に向上した。東京駅から京都駅まで新幹線で2時間20分。観光地までのアクセス環境の変化があり、観光バスで2時間移動しても日帰りが実現するようになった。

 これまでのバスは地域内の住民向けにサービスを展開し、大きな人の動きにあまり着目しない傾向にあった。本当はニーズがあるのに、そのニーズを発掘できずに、チャンスを逃してきたルートはたくさんありそうだ。脇会長は京都周辺の地域のお祭りなどを次々と例に挙げ、新しい企画に期待を寄せる。

 

 

 

インバウンド対応が課題

 

 地域資源に脇会長が目を向けるのには、観光スタイルの変化、インターネットやスマートフォンの普及による観光情報の飽和、観光バスに求めるニーズの変化、外国人観光客の増加という大きな社会のうねりが背景にある。世界でも国内でも国内有数の観光地である京都。しかし定期観光バスは1年前から苦しくなってきたのだという。2015年の入洛観光客が5600万人と前年より120万人増えているが、これは外国人の増加によるもので、外国人観光客が増加傾向にある反面、日本人観光客が減り始めている。これまで日本人の国内観光向けに事業を展開してきた。そのため外国語のできるバスガイドの確保や育成、外国人観光客向けの旅行商品の企画や情報発信など、インバウンドの増加という環境の変化への対応が遅れているというのが現状だ。これは同社に限った悩みではなく、バスをはじめとする地域内移動の共通の悩みの種だ。

 

 輸送サービスを提供する地域のかけがえのない資源のモノや人をつなげる潤滑油として欠かせない移動。それを支えるのが公共交通だ。”地元のメンテナンスとコミュニケーション”を大切にし、環境の変化とともに変わる”人の動き”を見極める。そんなチャレンジングな取り組みが広まれば、日本全国の地域の移動にかかわる問題ももっと減るのではないか。そんな気持ちになるインタビューでした。

 

 

 

 

 

 

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