

実務と研究の連動と分野横断的な交流を~「都市をたたむ」研究の遅れ~ -荒川区役所 長野博一さんインタビュー
人口減少時代の日本社会を検討する際には何が必要なのでしょうか。その一つに異なる世代の意見を融合させ、悲観的になるだけではなく希望ある未来づくりへと導くこと。そして公民学など部署間の分野横断的な議論と実務と研究の融合も必要でしょう。例えば高度経済成長やバブル期の右肩上がりの時代の世代と、バブル期以降の経済低迷期の世代との価値観が驚くほどに違います。また一つの部署のみでは検討しきれないことや個別に進めると不経済だったり非効率だったりします。そのため研究と実務との融合を図る人材や分野横断的なプランナーの存在が今後ますます必要となってきそうです。 そこで今回は1978年生まれの東京都の荒川区役所勤務の長野博一さんをご紹介します。長野さんは民間経験者で、さらにはライフスタイル、交通、都市、子育て、福祉などの研究者で、大学で若手育成を行う教育者でもあり、その公民学での分野横断的な経験に裏打ちされ、中長期的な社会変化を見据えた高い志による精力的な活動に対して、30~40代の都市や交通の若手研究者の人材不足が懸念される中で、注目が高まっています。多忙なスケジュー


JR東日本の授乳室やおむつ交換スペース、トイレはここまでステキ!~子育てママ・パパの声を取り入れる工夫~
栃木の民芸品の野州てんまり」「黄鮒(きぶな)の張子」をふんだんに使った装飾。水と緑と大地」を思わせる内装。高原に広がる広葉樹をイメージして大きな木のオブジェを設けた壁面。地域の魅力を意識した贅沢すぎる内装にびっくり。ここは2015年冬と2016年春にオープンしたJR東日本の新幹線コンコース待合室に設けられたベビー休憩室の中。順に宇都宮駅、小山駅、那須塩原駅です。広さは20~23平方メートル。授乳室、流しと給湯器、おむつを替えるスペース、子ども用のトイレ、子どもが遊べるキッズスペースがあります。キッズスペースではおもちゃで遊べて窓から通過する新幹線を眺めれたり、待ってくれているパパや家族の居場所もちゃんと用意してあります。安全面はもちろんのこと細かなところにもママだけではなくパパなどの家族目線を感じる、乗り換えや乗車前に見てみたいなと思うような、JR東日本スタッフの思いやりがいっぱい詰まったところです。 小さな子どもを連れてのお出かけはひと苦労。特に公共交通が便利なまちでは、クルマを使わずエコな移動をしようとすると自然と両手や背中で荷物がいっぱいに


活動格差社会がもたらす交通需要予測 悲観的に見るか変わるチャンスと思うか
将来の交通需要予測の考え方を見直さなければならない。大きなインパクトのあるシンポジウムが9月6日に行われた。土木計画学の生成原単位研究会が開いたものだ。一人のひとが一日に行う交通行動(生成原単位)は性別や年齢別では変化しないと考え、その考え方に基づき将来交通量の推計などが行われてきた。しかしどうやらこの原則が最近の社会環境により崩れてきているのだ。この10年間に20~40歳代の一人のひとが一日に行う交通行動がそれ以降の世代と比較して減少していることが明らかになったからだ。人口減少に加えて、一日に行う交通行動(生成原単位)が減少し、生成原単位研究会は2030年には鉄道は20%減少、自動車は17%減少すると予測している。公共交通事業者や自治体などの事業、人事、組織などの戦略が今のままで良いのか今一度立ち止まって考えなければいけないのかもしれない。 このシンポジウムは「生成原単位減少の背景と社会的な意味を探るシンポジウム」で、生成単位研究会メンバーの土井勉・大阪大学特任教授の司会のもと、西堀泰英・豊田都市交通研究所主席研究員の基調報告、原田昇・東京大学